運転手は昨夜遅く付いたので出発は９時半でどうかという。やむを得ない。
朝、運転手の来る前にホテルの前の道路に出て見ていると、車に混じって牛車は無論象やラクダまで通ってくる。街の中は四車線になっているが、両側二車線は人やこれらの動物の通りになるから、実質はどこもニ車線である。まずは動物が優先であり、車はそれらを避けながら走る。郊外に出て山の上の城に向う。（写真：街を行く象、山の王宮を登る象）
ジャイプルは砂漠の州であり、マハラジャは今でもジャイプル市内の王宮に住んでいる。山の王宮は今は無人であり専ら観光用である。登るのにゾウの輿に乗る。たまたま私の乗った象はもう年寄りらしく、他の象に抜かれながらあえぎあえぎよぼよぼと登る。長い鼻でブシューと吹くとしずくが顔にかかってくる。また日陰を歩きたいのか山道の塀に体を摺り付けるように登る。塀の下は崖である。象の背でゆらゆらゆれるたびに塀の上から崖を覗きこまされる。城の中で象のタクシーを降りると象使いは、乗る前に払った料金とは別にチップを要求してくる。一組の外人が払わずに歩き出したら、仲間ともども追いかけて行った。すこし古びてはいるが全くすばらしい宮殿である。山の上を見てもさらに建物は続いているし、下は山間に街が見える。案内人が説明するからといって擦り寄ってくるが、こんな景色の良い所で説明は無用。見ているだけで十分である。かっての謁見の間には白い毛で覆われた大猿がやはり風景を眺めている。猿はカメラで撮影してもチップは要求してこない。帰りは歩いて降りる。（写真：ジャイプルの山の王宮）
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