８日目は帰国である。翌朝、旅行社のWingsの人が空港まで送りに来てくれる。今度はホテルを出るときにしっかりとパスポートを確保しておく。渡されたアンケートに書き込みながら聞くと今度のテロでもう相当のキャンセルが出ているようである。エジプトの新聞は事件を報じると同時に識者のコメントも記載しているが、中にはアメリカの今までのやり方の中で起こるべくして起こったとの意見もあった。
空港の検査も厳重になった。X線検査を通ってもすべてのバッグが開けられて確認される。うっかり手荷物に入れておいた果物ナイフは到着地まで取り上げられてしまった。帰りのマレーシア航空は再びベイルート経由である。途中サハラ砂漠の越えるときに雲が山に阻まれているのを見てモーゼの登ったシナイ山もこのあたりかとふと思った。飛行機の外は一足飛びに夕方になり夜となった。土曜の朝１１０時半にカイロを出発してマレーシアに着いたのは日曜の朝６時少し前であった。
葉脈のごとくサハラの河の跡 砂を運びて砂海に消え
ルクソールの神殿そびえ幾世紀 モーゼのいでしテーベの地にて
濃きみどりナイルに沿いて茂りたり 迫り来れる砂山を背に
かく大き石組の壁門柱 鉄無き時の人知如何にか
三千年時を越え来て色とどむ ナイル見下ろす神殿の壁
アスワンの河面をわたりるそよ風も熱砂のままに吹き来たり
作る人移せし人の知恵ありて アブシンベルの賑わいのあり
カイロよりはるかに見えるピラミッド 手招くごとく人を魅了す
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