ヨーロッパ碁コングレスの旅　2016（極東ロシアから）

極東ロシアの旅（３）　　　　次へ　前へ　

7月16日　
　ハバロフスク行きの夜行寝台車の部屋は4人がけであるが朝目を覚ましたらロシアの男性が一人いるだけだった。列車はハバロスクが終点である。下りると大きなカードに私の名前を書いて運転手が待っていた。運転手は荷物を引いて後をついてゆく私を振り返りもせずサッサと駅前に駐車してあった車に荷を積み込む。駅からアムール河近くのホテルまでは10分ほどであるが、入口にはツアーガイドと日本人の団体客が大勢いる。ここは日本人団体の定宿らしい。8時半ころに着いたが、チェックインは12時からだという。レストランで朝食をとりながらインターネットでしばらく過ごすことにした。11時半ころフロントに出向いたら部屋を用意してくれた。アムール河に面した見晴らしの良い部屋である。
　早速アムール河縁に向かう。この大河は冬になると全面凍結し、対岸には徒歩で渡れる。その氷が解けると流氷となって樺太を回り知床の海を埋め尽くす。遊覧船も出ているのでさっそく乗り込む。アムール河にも列車と車の通う長い橋が架かっていて、遊覧船はそこまで行って戻る。対岸はアシの茂みの湿地帯である。かってそこに追いやられたユダヤ人たちはほとんどが戻ってきたが、わずかの人たちが暮らすようになった町もあるという。1時間ほどのクルーズを終え黄金に光る玉ねぎ寺院に向かう。ハバロスクは坂の多い街である。河に向かって大通りが数本走っているがいずれも尾根道の上である。道路から道路へ横切るときは尾根を上り下りしなければならない。スパソ・プレオブラジェンスキー寺院も尾根の上にある。たどり着くと人々が行列している。今日は日曜ミサがありそのため現地の人が並んでいるようだ。割り込んで寺院に入るのも気が引けるので行列の最後に並ぶことにした。　牧師が聖水をかけに来る。女性はスカーフを被り私は帽子をとる。行列は５０ｍほどでそんなに長くはないが遅々として進まない。寺院に入るまでは一時間ほどかかったように思える。この間行列の長さもあまり変わらない。中に入ってみると礼拝者は沢山のイコンを順にお参りしている。これでは行列がゆっくりのわけだ。十字を切って写真を数枚撮って引き上げる。隣にやはり十字架のある建物がるがこれは神学校のようだ。ロシアの人たちはヨーロッパの人たちより信仰心が篤いようである。

（写真はハバロフスク駅、船から見たウスペンスキー教会、教会前大通り、祈る人、スパン大聖堂、ミサの参列者、大聖堂の中、アムール河、同クルーズ船、ホテルでの合唱団、市内の歩いたところ）

　街の中央にはもう一つ大きな寺院がある。その青い屋根のウズベンスキー寺院から河岸に向かって階段が一直線に続いている。この風景はクルーズ船からもよく見えた。このウズベンスキー寺院は街の中心の丘の上である。ここはミサを行っていなかったし、お参りしている人も少なかった。近くに赤煉瓦の塀で囲まれて標識にPalaceとある。門の前の人に聞いたらレストラン（ルースキー）もあるという。通路とエレベータで大きな食堂に入ったが客は一組のみで給仕もいない。なにか場違いの気がするがしばらくして出てきた給仕に海鮮のクリームスープとビールを頼んだ。それがおいしかった上にお腹もすいてきたのでパンと肉のスープを頼む。出てくるまで時間がかかったが、また値段も高かったが（1980ルーブル）どれもおいしい。後で知ったがここはもと迎賓館だったそうである。
青色のウズベンスキー寺院からは一番の繁華街通り（ムラヴィヨフ・アムールスキー通り）が始まりレーニン広場を経て市内で一番大きいディモナ公園に至る。疲れたので考古学博物館だけを見て宿に戻ろうと思ったが、その考古学博物館は改修のため閉館中であった。ホテルに戻ってレストランに行くと大勢の日本人客を前にロシア民謡のコーラスが行われていた。近ツリのツアーの由。