プノンペンの空港にあった天地創造の壁懸、乳海攪拌の物語。カメが神神の攪拌を支えている。
帰りの朝は早い。８時発の飛行機でも来た時の経験で予約なんかあてにならないから７時前には着いてることにする。ホテルの食堂は６時に開いた。まだ暗い中をウエイトレスとコック二人で店を開ける。客はまだ私だけである。タクシの運転手はもう外で待っていた。簡単に食事を済ませて空港に向かう。６時半少し過ぎた頃に着いた。まだ暗い。タクシーの運転手は別れ際に、これで何時また客が掴めるかとため息をついている。空港も従業員が来て開け始めた所である。他の乗客もまだ来ていない。
売店が開いたのでコーヒーを頼む。四面象のミニチュアがスタンドに飾ってあったので、交渉して譲り受ける。驚いた事に、其の間また警察官バッチを持ち出して来てこれを買わないかと言う。７時半頃になって何台かのバスで団体の観光客がやって来る。個人で来る人は少ないから、タクシーの運転手が嘆く訳である。飛行機は定刻通り、飛び立っすぐてトレンザップ湖が眼下に見えて来る。プノンペンに着いて早速来た時の旅行社で帰りの飛行機の確認をする。待つ間空港の外に向かうと来た時飛行機がだめならボートがあるとでまかせを言った雲タクの運転手と出会ってしまった。彼もこの間客が無かったのだろうか。いずれにせよまだカンボジアは一人でそれもふらっと来る人は少ないようである。空港内の土産物屋で四面象のミニチュアが売っていた。やはりシムリアップの売店の方が交渉上手であったようだ。ここでの方が安い。国際線でマレーシアに戻るとなにかしら、文明国に戻った気がする。ＫＬの国際空港がまだ新しいこともあるが。市内に戻って来るとここのホテルが６つ星にも７つ星にも見えて来た。しかしあのシムリアップの町に流れる緑を映した川の、町から遺跡に至るどこまでも
伸びる並木道の美しさ、アンコールワットの頂上あるいはブノンバケンの丘からみた樹海に夕日の沈む光景は忘れ難いものである。