ヨーロッパ碁コングレスの旅　2016（極東ロシアから）

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　今年（2016年）のヨーロッパ碁コングレスはサンクトペテルブルグで開催される。ロシアも囲碁ではヨーロッパの一員であるらしい。以前（2010年）にフィンランドで囲碁大会が行われたときにモスクワ＝＞サンクト＝＞ヘルシンキと旅をしたことがあるが極東露はまだ行ったことがない。今回どうせ行くなら極東ロシアを回ってから行こうと思った。しかしロシアには簡単に入れない。バウチャーという招待状が必要である。囲碁の主催者は囲碁だけのバウチャーしか発行してくれない。日本の旅行代理店に最初聞いたときは、ロシアの旅行社が全旅行に関与しないとバウチャーは発行してくれないという。これではあきらめざるを得ないかと思ったが、碁のバウチャーを旅行代理店に送って一月後に旅行代理店からOKが出た。これでウラジオストクに入ってシベリア鉄道（夜行列車）でハバロフスクに向かい、モスクワを経由（フライト）してサンクトペテルブルグに入る（夜行列車）ことができるようになった。以前の会社の同期で防衛大出身の仲間がいる。誘ったら行くといったが検査で癌が見つかり治療に専念するために行けなくなってしまった。彼ならロシア語が少しできるが、私のロシア語は（多少のキリル文字は読めるが）彼から教えてもらったグジェー（どこ？）だけである。おまけに文明の利器のスマホも持たない。磁石と万国共通の身振り手振りが加わるだけである。
7月14日
　少し早めに家を出たが、新宿からの成田Expressが大幅に遅れ、飛行機の搭乗カウンターには出発（15:40分）の1時間前に着いた。受付も急いでいたので多分最後だったようである。飛行機の搭乗口は一番遠くにある。着いたらカウンターにいた受付が先回りしていて「待にあってよかったですね」という。飛行機は緑色の小型機で定刻に出発。
ウラジオストク空港は日本の地方空港のように小さい。空港で荷物を受け取って税関を出ると、旅行代理店が手配してくれた運転手が名札をぶら下げて待ち構えていてホテルまで連れて行ってくれる。 ホテルに荷物を置いてすぐにシベリア鉄道の終端であるウラジオストク駅に行ってみる。ホテル前の通りからレーニン像のある公園を下ったところに駅があり、その駅の裏側はウラジオストクの港で大型船が停泊している。極東ロシアは日本より西側に位置しているが時差は日本より1時間早い。駅から港を回ってガイドブックにあったロシア料理店を探すが見つからない。地元の人に尋ねてたどり着いたところはいずれも中華料理店に代わっていて中国人でにぎわっている。あきらめてホテルに戻ると、隣にこざっぱりとしたロシア料理店があった。適当に注文してビールを飲んで引き上げる（980ルーブル）。野菜スープとサーモン焼きがおいしかった。ホテルの部屋ではつながるというインターネットの信号が弱く接続できない。また部屋には冷房がないので窓を開けて寝る。

　7月15日　まだ現地時間に合わせていない私の時計の8時に朝食。オムレツに薄いトーストとコーヒーで済ます。食堂でインターネットに接続することができたので、メールをいくつか送信してから宿を出る。
　ウラジオストクは湾に突き出した先頭にあり、東側をウスリー湾、西側をアムール湾という。二つの湾は金閣湾を介してつながっていて、金閣湾の先にルースキー島という小さな島がある。2012年にこの島でOPECが開催されたときにウラジオストクの市街から金閣湾を跨いで橋が架けられた。ソ連時代はルースキー島が太平洋艦隊の閉ざされた基地となっていた。街は金閣湾とアムール湾に向かって下る坂の上に作られている。 　金閣湾に沿って走る大通りを目指し、ホテルから尾根を越えるような道を山越えし大通りに出る。角に昔は横浜資金銀行であったというアルセーニフ記念博物館があるはずであったが道筋を一本間違ったらしい。教えてもらって訪ねたが10時からの開館で30分ほど早すぎた。ここからスベトランスカヤという大通りが駅の裏手の金角湾に沿って走る。昨日駅の裏手に見えた金閣湾を跨ぐ大橋（黄金橋）を目指す。橋は大きく見えるが歩くとずいぶん遠い上に大通りはアップダウンがきつい。１ｋｍほど歩いてようやく大橋の下をくぐる。地図にはさらにその先にケーブルカー経由で大橋を見下ろす展望台がある。
ケーブルカーの乗り場を尋ね訪ねてようやく登り口の階段を見つけた。そこを少し上った先に乗り場があるはずである。しかしたどり着いたら運転休止している。そういえば先ほど道を尋ねたとき身振りで道を教えてはくれたけどバツ印をしたような気がする。仕方がないのでケーブルカーに沿った細い山道の階段を上る。数人が上っているのでなんとかなるだろう。しかしその数人は地元の人らしく一段上ったところで別の道に去ってゆく。途中つまずいて肘をすりむき、カメラを石段にぶつけてしまう。ようやく上り切ったと思ったらサークル交差点の真ん中で鷲の巣展望台にはまだ上らなければならない。観光客はこのサークル交差点まで観光バスで来てそこから展望台を目指すのが普通らしい。展望台にたどり着いたら中国人であふれている。たまにいるロシア人は中国の観光客のガイドである。傍にいた若者に写真を撮ってもらえるか中国語で依頼したら日本人だった；；中国語もロシア語も知らないけど昨日同じ飛行機でウラジオストクの観光に来たという。この時期ロシアの人は結婚式の写真を観光地で撮る。ここでも一組現れた。帰りはさらに大勢上ってくる中国人をかき分け、ケーブルカー沿いの道を下る。地図には大通りからさらに海に近い湾岸通りがあるので湾を横切る黄金橋の下をくぐり、戻る途中のアンドレイ協会とニコライ二世凱旋門を見る。ここでも結婚式の写真を撮っている。凱旋門からスベトランスカヤ大通りに戻り見つけた軽食堂でアイスコーヒーを頼んだらメニューにはなかったのに手作りをしてくれた。大通りのグム百貨店から山の手に大通りと並行するアドミラーラ・フォーキナー通りに入る。道路の先にアムール湾海岸までが見通せるところまできてようやく噴水通りとなった。噴水通りの先は海岸公園になっていて水族館もある。地図にはウラジオストク要塞博物館もあるが見当たらない。屋台がならぶにぎやかな海岸通りを行って戻る。浜では甲羅干しの人も海に飛び込んでいる人もいる。ヨットも見える。戻ったところの魚市場に立ち寄るが魚が臭いし、買い物客がいない。魚市場のレストランには中国語メニューとハングルメニューが張り出されていて次がロシア語メニューである。海岸公園の階段を上るとスベトランスカヤ大通りに出る。朝入館できなかったアルセーニフ博物館に入る。日本語のガイドが日本人団体に説明していたが、たどたどしいので通り抜けた。ロシア貴族の探検家が極東開発時代に集めた資料が展示されていた。ここからホテルに戻って少し休んでホテルのレストランで簡単な夕食を取る。

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