David Halberstam が１００人以上の戦争関係者にインタビューしてまとめ上げたもの。この戦争の死者と負傷者はアメリカが１４万人、韓国が８４万人、北朝鮮と中国の死者が１５０万人と推定されています。なんとおよそ合計２５０万人です。ハルバースタムはこの戦争を誤算の連続と称しています。最初は米軍の防衛線外での参戦はないとの金日成の情報を元に南侵を許したスターリンの誤算、そのソ連の国連安保理ボイコットのおかげで国連の旗の元にマッカーサーの指揮下で米軍を送り込んだが、米国の絞りに絞った予算でも
対抗できると読んだこと。仁川の逆上陸はマッカーサーの大成功だったが中国の参戦はないと読んで軽装備で中国国境近くまで軍を進めたこと、この結果アメリカを中心とする国連軍は大敗北を喫し再び３８度線の南深くまで後退せざるを得なったが、毛沢東はだ一線指揮者の彭徳懐の忠告にもかかわらず補給が困難になることを過小評価し続けたこと。

戦場の様子も詳しく書かれていますが、それ以上によく描かれているのは人と人との関係です。ルーズベルトの後を継いだトルーマンにマッカーサーが全く敬意を払わなかったこと、朝鮮に一日も滞在せず第一生命ビルで指揮を取ったこと、一線で苦労している将校を軽んじ取り巻きだけを重んじたこと、蒋介石軍を過大評価しそれを使って中国に仕掛けようとしたこと、戦力を考慮せず中国大陸侵攻を画策していたこと、などなどです。参謀本部の指令も聞かなかったマッカーサーはついにトルーマンに解任されることになりましたが、マッカーサーが離日の時は２５万人の日本人が見送り、ニューヨークに着いたときは７００万人の群衆が繰り出し凱旋将軍を迎えるようだった由。
それに合わせて野党の共和党がトルーマン政府攻撃のためマッカーサの聴聞会を要求したが聴聞会が進むにあたってマッカーサーの老害と独善ぶりが明らかになっていったなどが詳しく書かれています。まさにジャーナリストとはかくあるべきのお手本のようです。