2009.1.18
呼吸して世のため人のためならぬ長生きだけのこの命かも
年金に頼り暮らせる人あれば暮らせぬ人は働ける人
下済みの仕事は外にだしければ今を働く人に職ナシ

009.1.19
足も萎え度忘れ多く耳遠く　母衰えど口は変わらず
同情を期待する母声細く　叱咤する声なんと激しき
老害を撒き散らしたるこの母よ　わが行く末もかくもあらんか
母の口うるささ増せば下ならぬ口失禁と医師の孫いう

2009.1.20
あれあれと言葉は遠くなりにけり　われのみならず妻もろともに
ああいえばこう言い返す妻ならば　ただ黙るより他にすべなし　　　　
今静かなぜかしらねどへそまげて　口きかぬ妻そのままがよし　　　　

2009.1.21
アメリカの新大統領に期待過ぎ　激しくなかれ後の落胆
かにかくに不景気の傷深ければ　オバマ薬も効き目わからず
米国の景気回復先読みし　ニ年の後に税上げるとは
同好会しばらくぶりに顔だせば　OBばかりの囲碁部なりける
見渡せばOBばかりの新年会　会社囲碁部は新人一人

2009.1.22
静けさにふと朝寝して気がつけば窓の外には冬の雨降る
湯窓開け風呂に体を沈めたり雨降る冬の暖かき日に
キャンパスの雨降る中に道問えば導く生徒傘差さぬまま
皿洗い「後はやってね　あかぎれが激しくなる」と妻言い残し

2009.1.23
集まりに出れぬとメール仲間より　今難病に苦しんでると
黄斑の変性進むこのまなこ　死と盲目のいずれが早き
口中に異音がすれば今朝もまたひとつ歯が欠け風の吹く

2009.1.24
新しいメニューにひかれレストラン家内と行けば賑わいており
二個あるを二人で分けて味わいし牡蠣のグラタン汁豊かなり
二個あるを妻と二人で分けあいし牡蠣のグラタン汁豊かなり
窓側は本読む人が並びおりコーヒ店の眺めよき階

2009.1.25
風呂水のあふれてやまぬ長電話妻と娘の話とぎれず
くりかえし繰り返し来る長電話　歌舞伎の誘いあれやこれやと

枯れ畑の土入れ替えす人ありて冬暖かき市民農園
中央線高架になれば冬晴れの多摩の山並目に飛び込みつ
バス停と囲みしビルはその昔蛙鳴く田の日野の駅前
シャッターを下ろす店舗の多くなり甲州街道日野の通りは

2009.1.26
湯を沸かし茶を入れる朝　今日もまたテレビは報ずガザの悲劇を◎

歯科曰く入れ歯の土台崩れれば口中這わす針金ありと
一時より始まる講座のせわしくて昼飯抜いて少し減量
九年もキャンパス居る博士より講義を受けし「遊びとはなに？」

夕焼けの空に描かれた幾筋の飛行機雲は星に消え行く
形相も激しく勝負にらみつつ朝青龍は予想飛び越え

2009.1.27
中国語習いて迷うこと多し方程式にあらず言語は
進む人遅れたる人ありて語学の部屋は河の分水
教室で習う人皆少し老け中国人の先生若し
市役所に頼まれ集まるボランテア意気あがる人暇つぶす人
腰痛や足痛む人集まりて聞いた話は筋トレ一本
信長が今世にあれば介護など皆送り込む冥土の旅へ

2009.1.28
高幡のだるま縁日賑わいり津波のごとく人集まりて
青い目も混じりて並ぶ金運のだるまの市や高幡不動
行列の稚児より多き撮影の写真の列が待ち受けており

2009.1.30
縁側の小さき鉢は枯れにけり水やらなくに冬の雨の日

2009.2.10
建国の日に亡くなりし父の墓　手向けの花は一輪の梅
長靴で上野の駅に着きし日は　晴れ雪なしの青春のとき
蝋梅の終わるがごとく内閣も狼狽のまま終わり近づく

2009.2.23
噴射することもなくなりわが小水　搾り出さずば下着濡れぬる。
雨降る日電車に乗れば度の強き　めがね曇りし真ん中丸く。
外だけがメタボにあらず　仰向けに寝ればわが舌気胸をふさぐ。
一本のワインをもらうパソヘルプ　足代よりは少しましなり。
何がしをし終えて帰る道すがら　ふと立ち止まり歌を書きつく。