囲碁マガジン「次の一手は？」

コンピュータ囲碁の現状（２００８）

　昨年(2007)フランス発で「コンピュータ囲碁に革命！」があったことはすでにお知らせ済みですが、日本でも囲碁ソフトの開発の重点は従来の知識ベースから乱数を使ったモンテカルロ法にシフトしています。スポンサーが替わりながらも十年以上続いているコンピュータ囲碁大会が昨年末は東京電機通信大学でUEC杯として開催されました。その第一回大会では招待のモンテカルロ法の「CrazyStone」（仏）と「Mogo」（仏）が優勝と三位、知識ベースの「勝也」が準優勝で日本で初めてモンテカルロ法に挑戦した「彩」は４位で終わっています。「彩」も以前は知識ベースで開発されてきましたがモンテカルロ法にプログラムを作り直したところ、数ヶ月で以前より強くなってしまったそうです。「彩」の開発者の山下さんは知識ベースのプログラム開発を続けてきた10年間は何だったんだろうと言っていました。

この大会に続いてCGF特別例会としてのコンピュータ囲碁トーナメントが６月２１、２２日、通り魔事件の覚めやらない秋葉原で開催されました。参加囲碁プログラムは国産の８本ですがモンテカルロ法が５本と知識ベースの数を上回ってしまいました。総当り戦の決勝は知識ベースの「勝也」とモンテカルロ法の「彩」とが全勝（６－０）同士で対決です。

　大会の様子は７月５日（土）のNHK囲碁将棋ジャーナルでも放映されるそうですが、知識ベースの「勝也」が常識的な布石で始めるのに対してモンテカルロ法の「彩」の序盤は５の５の上をゆく布石です。当然「勝也」が四隅を確保し「彩」はまとまりそうもない大模様で中盤以前に勝負あったように見えてしまいました。ところが「勝也」は模様を消すべき中央の石を見限って辺の稼ぎを優先します。知識ベースは広すぎる模様の中で生きを見つけることが難しいのだそうです。その間に「彩」は中央を制し大模様を完成してしまいました。こうなると大差の逆転です。見所はこれからも続きます。「勝也」が中央のどう見ても生きのないカス石を逃げ出しました。「彩」は分断し息の根を止めるかと思ったら隅に手をつけ、アレ？と思ううちに中央の一部を生かしてしまいました。モンテカルロ法では勝った時の目数を最大にする手を選択しないで、勝つ確立を最大にする手を選ぶのだそうです。安全運転の極意をゆくのです！結果はコミを入れて７目差で「彩」が優勝し、ついに日本でもモンテカルロ法が１位になりました。開発した山下さんはCrazyStoneに追いつくまでには後一歩といっています。次の世界大会を期待しましょう。

写真は下記のブログ（２００８．６）にアップしておきました。7月５日のNHK番組（午後0:10～1:28）をお楽しみに！
http://maznaga.cocolog-nifty.com/blog/

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前田詰碁１－７
黒先では？ 
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前田詰碁１－８
黒先では？ 
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前田詰碁１－９
黒先では？ 
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