記事：失語症と失碁症

「囲碁はボケ予防の妙手」という臨床医の書いた本があります。今までに２万人を超える老人性痴呆症を診てきた結果の話です。老人クラブなどに参加しているお年寄りを調査すると程度の差はあれ、おおよそ１３％の人が痴呆症状の傾向が見られるそうです。それに対して、囲碁クラブで碁を打っているお年寄りには痴呆症がほとんど見られないというものです。囲碁を知っているという人で痴呆症を提する人は１００人中で２，３人しかいないそうです。

ここまで読んではてな？と思いました。痴呆症の患者が囲碁クラブで対局することができるのでしょうか？なにか統計の考え方がおかしいようです。それでも、他にレジャー白書というものがあって１９９６年には囲碁人口は４００万人の由。この調査は無作為で４０００人を選んで一年間に一度はやったか否かで調査した結果だそうです。日本の人口が１億２千万人とすると、囲碁人口の比率は３％となり２万人の患者なら６００人くらいは囲碁を知ってる人がいそうなものですから、患者１００人は確かに少ないのかもしれません。

著者がいうのは左脳が冒されれば言葉の認識が乱れる失語症となり、右脳が冒されると空間認知が困難となり失碁症になるというものです。しかし囲碁は右脳だけで打てるものではなさそうです。総合判断をつかさどる前頭前野が冒されれば対局はできなくなると思われますし、後頭部を冒されれば定石や手筋など覚えていた事柄を引き出すことが困難になるでしょう。でも、失語症と失碁症とは言い得て妙です。

失語症のリハビリには失語の程度のテストが標準化されていてそのテスト結果に基づいて行われるのだそうです。囲碁も石の形が再現できなくなる、定石の並べなおしができなくなる、定石の選択判断ができなくなる、盤面の一部しか見れなくなるなどの各項目について脳の損傷部分との関連がより明確になれば失碁症のリハビリにより有効になりそうですね。

あまり論理的ではありませんが、大まかにはなるほどと臨床医学の一端を知ることのできる本です。いずれにせよ碁に精をだせば脳の使っていなかった部分の刺激になるのでボケ防止にはなるでしょう。碁をやりましょう。そして碁をやる人を増やしましょう。でも最近は年をとってきたためか棋譜をならべなおすことができなくなりました；；

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玄玄　十面埋伏
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玄玄　王陵研営
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玄玄　昭君陥虜
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